てっちゃん

彼の見つめる先にのてっちゃんのレビュー・感想・評価

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)
3.8
高校生男女3人の青春物語作品。
主人公レオは目が不自由で生まれてから一度も”見た”ことがない男の子、幼馴染のジョヴァンナはレオを守っていると同時に良き友達の女の子、転校生としてやってきたガブリエルは美しい顔立ちの男の子。
そしてレオとガブリエルはお互いに惹かれあっていき、そんなレオを優しくも愛のある目線で見守るジョヴァンナ。

まさしく青春映画と言うに相応しい内容なんだけど、決して派手さ(バカ騒ぎ感、ハメ外しっぷりやお下劣な内容とか)はなくて、どこか親近感が湧く学生生活。
おそらくブラジルっていうお国柄もあるのか分かんないけど、ああこういうのもあったよなと思わせるような要素がちらほら。

目が不自由な点、同性愛という点が、描かれているしそれらがもつ弊害だったり、差別的な出来事は起こるんだけど、それらは対したことではなく、本作では純粋な恋のはじまりを描いていると感じた。
いちおう敵みたいな存在は現れるけど、それは青春時代ならではの敵であるし。

こうして人を惹かれあって、人を好きになっていくのだなと再認識させてくれる。
そうした"はじまり"を描いているわけだ。
その"はじまり"に気づいたときに、私は2人を応援したくなったし、その気持ちはまさしくジョヴァンナの気持ちと重なったわけだ。

自分はもう大人なんだからこうしたい!、もう独り立ちできるんだ!と思っても、いい歳に自分がなってみて分かるけど、高校生はまだまだ未成年だし、社会の現実に揉まれる強さはまだ持っていない(ものすごく現実的な目線での話)からこそ、あれこれ言われても仕方がなかったんだなと感じる部分もあったりする。

けれども、そうした硬い考え方になっている自分も確かにいることが分かり、本作を観て今とは異なる若さ故の"野心"を思い出したりもした。

とても良質な青春作品であると同時に、人を好きになるはじまりを気づかせてくれる作品でした。
てっちゃん

てっちゃん