カツマ

彼の見つめる先にのカツマのレビュー・感想・評価

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)
4.3
ベルアンドセバスチャンがこんなに素敵に聞こえる映画には、もう二度と出会えないと思った。地味なアルバムのラストにコッソリ仕舞ってあるようなThere's too Much Loveという曲。この曲を主役にして、青春時代を優しく切り取った作品が生まれました。後ろ指を指されても、好きな気持ちを伝えたい。そんな親友の、好きな気持ちを支えたい。そんな当たり前なのに難しいことを、真っ直ぐと瑞々しい音楽に乗せて届けます。2人の走る先にある未来はもう描く必要はないよね。ほら、エンドロールと一緒に優しいあの曲が聞こえてくる。

盲目の少年レオはクラスメートのジョヴァンナとは大の仲良し。ジョヴァンナは毎日レオを家まで送っていき、休みの日には2人してプールサイドでいつか来るファーストキスを夢想するような日々。思春期のレオは何かと世話を焼く母親に反抗心が芽生え始め、交換留学の願望を胸に秘めていた。
そんな中、2人のクラスにガブリエルという巻き毛の少年が転校してきた。レオとガブリエルはすぐに意気投合するも、2人の間に次第に友達以上の感情が芽生えていく。そんな2人を横目にジョヴァンナは次第にレオと距離を置くようになっていき・・。

レオ、ガブリエル、ジョヴァンナの想いは擦れ違いながらも交錯し、本当の想いはなかなか伝えられない。だからこそ、それを伝えられた時の瞬間が、こんなにも輝いて見えるのだろう。青春映画はときにほろ苦いラストシーンを用意するものだけど、この映画のラストカットはどこまでも優しかった。ジェンダー系の作品と言われればそうかもしれないけれど、敢えて言いたい。この物語はごく普通の青春映画だったのだと。そしてそう、泣けるほどに美しいラブストーリーだったのだと。