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彼の見つめる先にのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)
4.5
ストーリー展開云々以前にまず素晴らしいのが、圧倒的な画と音のさわやかさ。ブラジル・サンパウロの夏の柔らかな陽射しはあらゆる世界をまぶしく照らし、鳥のさえずりや水音、木々のざわめきに満ちた日常は盲目の主人公・レオを取り巻く世界を疑似体験させてくれるかのようです。そして何より驚かされたのは、彼らの母語であるポルトガル語の響きの軽やかさ。日々の営みとして幾度となく発せられる「オブリガード」「チャオ」がこんなにも愛らしいなんて、とびっくりしました。すてき。

カットが少なくズームインを多用したカメラワークは見えないレオ/見えるジョヴァンナ&ガブリエルいずれの心象も丁寧に描き出していて、時にセリフよりも雄弁であると感じました。ガブリエルがレオを好きになる過程を深追いしないかわりに、シャワールームでえげつないほど彼を凝視するさまが描かれているところなんてもう完璧。「恋に落ちるのに理由なんてない」という普遍的な事実に、10代の向こう見ずさのトッピングいただきましたごちそうさまです!みたいな感じでひたすら胸をかきむしられっぱなしでした。もっと言うならあのパーティー、あんなにもみずみずしく甘酸っぱくほんのちょっとだけ背伸びした「キスで黙らせる」描写、なんなんだよこれこんなの観たことねえよ…最高すぎるべ…とひとしきり身悶えした次第であります。たまらん。

それにしてもジョヴァンナ、君はなんていい子なんだ。「おじいちゃんのこと、今も愛してる?」と孫に訊かれてニコニコしながら「日によるけど」と即答するおばあちゃんも素敵。そして高校の制服がフクロウ?のワッペンつきのTシャツだなんて最高に可愛くそして実用的じゃないですか。淡いグレーのボディに襟ぐりがミントグリーンのパイピングっていうカラーリング、ふつうに着たいし何ならグッズとして売ってくれよと思いました。はー、よかった。とてもよかった。
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