Otun

傷だらけのふたり/恋に落ちた男のOtunのレビュー・感想・評価

3.7
年度末が近づき、私のこの時期の風物詩、馬車馬仕事月間に順調に差し掛かってまいりました。
映画の観れない馬車馬daysを過ごし、その日も、運転する車を停車させた車内で、己の見事な馬車馬っぷりに、「うん、近頃、俺、また、なかなかに馬車馬だな」と、改めて確認おりましたら、知らないワンボックス車に全速力で後方から追突された。
カーブ明けと言うのもあり、全く減速してないワンボックス車が私達の車の右後ろに接触した瞬間、ターーーーーン!、みたいな耳鳴りと共に、瞬間がスローモーションの様になり、追突した車が、ガラス片やらボディやらバンパーやら撒き散らしまくり、さながら「ブラックホークダウン」の爆撃シーンみたいにあらゆる破片を飛び散らせまくり、信じられない衝撃を私達に与えつつ、横をドゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォン!!とか悪魔的な爆音を垂れ流しながら通りすぎ、気づいたら私より30メートルほど前方で停車しました。

私は、まず、己の無事を確認しました。
頭ぶつけてないかな、ぶつけてない。血ぃ出てないかな、出てたら嫌だな、うん、出てない。背中はちと痛いが、まぁ、大丈夫。次に横に乗っている同僚に大丈夫か、と声を掛けました。同僚は多少放心していましたが「はい、大丈夫です」と言いました。

次は30メートル前に停まるあのワンボックスです。
後ろから見る限り、ワンボックス車の左半分はもうぐしゃぐしゃになっていて、さながら塚本晋也の「鉄男」みたいになっており、それを見て私は率直に思いました。
「うん、こりゃあ、死んどるかもしれん」。
見に行きたくないけど、見に行かなきゃ行けないよねー、同僚はまだ口空けてパクパクしとるし、しゃーないとワンボックスへ駆け寄りました。
ああ、そうだ、もし、ここでガソリンとかが漏れてたら大変。「クラッシュ」のマットディロンみたいにちゃんと出来るかしら私、と少し心配になりつつワンボックスの横まで来て中を覗くと、文章では記しにくい、おじさんとお爺さんの中間くらいのおじさんおじいさんが人生で今まで見たことないくらい、完全に茫然自失しておりました。
「大丈夫ですか?ケガないですか?」。
おじさんおじいさんは、12秒くらい自由に間を使った後に「ああ、大丈夫、だと思います」と言った。

この話。特にオチらしいオチはないのですが、普通に日々生きていても、こんな大それた事があるのだな、と。
その後、おじさんおじいさんが免停になるのかとか、彼の車が廃車になるかとかは分からないけども、「居眠りしちゃって、、」と彼も仰ってたし、今後の戒めとしてその代償はしかるべき事の様な気がするし、そもそも、「ブラックホークダウン」と「鉄男」と「クラッシュ」が同時に比喩に出ちゃうくらいハードな事故だったのに、みんな大したケガがなくて良かった。

その後、警察が来て、事後処理とかして、事情を警察官に聞かれて私が話しているとき、ふと離れた所にいたおじさんおじいさんを見たら、小さくなって道路近くの壁に空気椅子してガラケー見てた。
おじさんおじいさん、近くにベンチがあるよ。
その時、はじめて少しだけ悲しい気持ちになったのです。

と、全くレビューでない近況失礼しました。
馬車馬の隙間を縫って初見した今作。ファンジョンミンの切実のにじみ方が素晴らしかったです。