ATSUSHI

4分間のピアニストのATSUSHIのレビュー・感想・評価

4分間のピアニスト(2006年製作の映画)
4.1
その為だけに生きる

音楽の才能がありつつも、それを無駄にしている殺人犯ジェニーと80歳のピアノ教師クリューガーとの交流を描く。
歳や考え方、恐らく生きてきた環境も真逆な二人。ジェニーが好き勝手にピアノを弾く度に「低俗な音楽はやめさない」と忠告するクリューガー。この二人の間にある音楽観というか、それぞれの音楽に対する姿勢や思い入れが違う。ジェニーの幼少期の過程がかなり苦く、コンクール直前の父に放つ言葉や態度がじんわり、ゆっくり胸にナイフが刺さっていく様で苦しかった。


ラストシーンの4分間は圧巻。彼女がピアノを通して、自分を解放し、不平、不満、今まで感じていたこと、何もかもを今、目の前にあるピアノの旋律にぶつける。彼女の気持ちを一滴も残さぬよう心から絞り出された、全ての感情は汚れなく、ピアノを弾き終えた彼女の姿、表情はどうしたって美しく感じる。
ラスト4分間でこの作品の真価が見える。


美しいピアノの音色と共に心が震える一作。