しろくま

4分間のピアニストのしろくまのレビュー・感想・評価

4分間のピアニスト(2006年製作の映画)
2.5
2022.05.05/102/GYAO
刑務所で受刑者たちにピアノを教えるクリューガーは、刑務所内随一の問題児ジェニーにピアノの才能を見出す。反抗的で暴力的なジェニーにレッスンをしようとするのだが…。

全然思っていた展開と違ってびっくり。レッスンを通してジェニーが心を開き、二人の間に師弟関係が生まれ、ジェシーが更生していく話だと思っていたのに、見事に裏切られた。

レッスンを受けようとしているジェシーに対して、態度が悪いからといって、練習を受けさせようとしないクリューガー。腹を立てたジェシーが暴れだしそれを止めようとした看守に暴力をふるっているのに、助けを呼ぶこともしないでその場を離れるのも理解できない。看守への暴行によって監禁中のジェニーから、ピアノを教えてほしいと書かれた手紙をもらっても反抗的な態度のジェニーが気に入らないクリューガーは、手紙を食べるように指示するシーンもあって、これじゃ心開けないだろうなあという展開。

コンテストへの出場を目指して厳しいレッスンが始まるが、暴力を受けた看守も他の受刑者も特別扱いをされるジェシーに嫉妬心と憎悪を抱き、卑劣な妨害が加えられ、ジェシーの詳しい罪状を知ったクリューガーは指導に来ないっていう踏んだり蹴ったりの状況も観ていて腹が立つ展開。

しかし、ラストのコンクールでの4分間は、圧巻のパフォーマンス。客席が総立ちになって惜しみない拍手が注がれるんだけど、クリューガーが最も嫌った音楽をあの場で披露した真意は何だったのだろう。それに、あんなに鍵盤を叩きつけて、内部の弦をひっかきまわして、あれを演奏と呼んでいいものか前衛的過ぎてその良さが分からないんだよなあ。あの後の演奏者は、調律し直さないと弾けないしね。
しろくま

しろくま