mimitakoyaki

自由が丘でのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

自由が丘で(2014年製作の映画)
3.9
ホン・サンス作品は14本目。
DVD化されたものはほぼ見ました。
新しい作品も早くDVD化して欲しいものです。

この作品、加瀬亮が主人公ということで注目されたんでしょうか、ホン・サンス作品のくせにマーク数が多いですね 笑

昔の彼女に会いたくなってソウルにやって来たモリが、元カノに会えずにひたすらソウルの路地をウロウロし、カフェの女性と懇ろになったり、ゲストハウスで出会ったおじさんと飲み歩いたりするだけの話です。
これはいつも通り、ほんとにどうって事のない話なんですね。
だけど、今回はソウル滞在中の事を日記のように手紙に書き、元カノがその手紙を落として順番がバラバラになったことで、物語の時間軸がシャッフルされてるから、捻りが加えられて、なんでもない話もちょっと面白い変わった感じになっているのです。

それで、見終わってちょっと頭ん中がこんがらがったりするのですが、よくよく考えると辻褄が合わない感じがあったりして、「へウォンの恋愛日記」のように夢だか妄想だかも混じっているんじゃないかと思えます。
寝るシーンが多いし夢のシーンも出てくるし、カフェの犬の名前が夢という意味の名前だったりして、寝ることや夢が印象付けられてるからです。

そもそもホン・サンスの作品で、会いたかった彼女に再会でき、その後すぐに2人で日本に行って結婚し、子どもも2人授かりました、めでたしめでたし!なんかあるわけないんですよねー。

だいたいいつも、ユルくてグダクダな男が女に振り回されて終わるので、今回もモリの願望、妄想だったのかなという気がしてて、でもそれも不確かなことであって、観てる人が結局何やったん?って煙に巻かれる感じにしてあって、それもホン・サンスらしくてまんまとやられました。

今作は珍しく主人公が映画監督でもなく、加瀬亮演じるモリも、いつものホン・サンス作品に登場する男たちのダメダメっぷりと比べると、いくら加瀬亮がダボついたヨレ感のある地味なシャツを着ててもどこか清潔感があります。

まあでも、元カノを忘れられずに会いたくてわざわざソウルに来た割には、カフェの女性の好い仲になるとか、ナンヤネン?と思いますね。
その程度のクズ感はあるのです。

今作はやはり時間軸をこねくり回したことによって起きる不思議な感覚がおもしろいということですね。
これまでも「3人のアンヌ」「次の朝は他人」「へウォンの恋愛日記」などなど、反復しながらも時間軸が狂ったり、パラレルワールド感、デジャブ感のある不思議な作品はいくつもあるので、そういう系統の作品となってます。
キツネにつままれたようなナニコレ感を面白がれるかどうかというところだと思います。

年明けてから大仕事を抱えて忙しい日が続いてて、Filmarksにもあまり来てなかったですが、ようやくひと段落したので、また映画をいろいろと楽しみたいです。

7
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