踊る猫

野火の踊る猫のレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.9
凄まじい映画だと思った。ただひたすら戦時下のフィリピン(?)での殺戮を描き切っている。主人公を中心に据えて、回想シーンを交えることなくエンターテイメント性にも頼らずに描写したその志は大いに買いたい。悪く言えば一本調子に流れる映画でもあり、極限状態に置かれた主人公たちに感情移入が出来るかどうかがキモだろう。大岡昇平に依る原作は一応読んでいたのだけれど、原作が傑作だったのは主人公の内面描写が描かれていたせいなので映画化にあたって内面の吐露を禁欲したのはどう捉えるか評価は割れるかもしれない。若干退屈な印象を抱いたことは否めないし、なるほどテレンス・マリック『シン・レッド・ライン』さえも彷彿とさせるほどジャングルの描写は鮮やかに描かれているけれどそれだけではどうも……とも思いこの点数になった。面白くしようとすれば出来たはずだが、その陳腐な「面白さ」に頼らない姿勢は賛否を呼ぶだろう。