@ シアターセブン(4回目)202.8.26
4回目の今年は直近で原作を読み返してから臨んだ。
原作の神と信仰の部分は殆ど反映されておらず、田村の孤独な心情も原作ほどは伝わってこない。田村が進む先々に見える”野火”が示す「生(せい)」との進めば進むほど近づく「死」の対比もわかりづらい。正直に言って原作とは別物だと改めて思った。
でも、それでいいんだとも思った。わたしがなぜこの作品を毎年観るかと言うと、戦争を知らないわたしが戦争を知るためだ。原作とは違う描き方なれど、そこに見えるものは人が人でなくなる様だった。理性が奪われるのではなく機能しなくなること。正常を保ったまま狂っていくこと。人間の本能とはいったい何なのだろうと考える。獣として生きることなのか、人間としての一線を守ることなのか。
原作に描かれる、田村の右手と左手。75年経った今、戦争に近付いている今、この映画が世界の「左手」であり続けることができるよう、これからも毎年劇場に足を運び、わたしが感じたことを伝え続けていこう。
※コメント欄は1~3回目の感想です、長くなるのでネタバレを押しています