めぐる

野火のめぐるのネタバレレビュー・内容・結末

野火(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

グロ表現、よくやってくれた。近年製作されたものでここまで内臓が出てくるものは見たことがなかったので高評価にしたい。
1人の兵士に密着するものの、戦場以外の不要部分(戦争と関係ないプライベートな過去回想など)が一切なかったことも良い。
また、役者の話し方もリアリティがある。「言葉の意味」より「喋り方」が人柄や体調、精神状態を図る為のツールとして機能している。字幕無し且つ無音でも観れる程の作品ではあるが、耳に響く音の雰囲気が一層場を盛り上げる。

ストーリー:第二次世界大戦フィリピンレイテ島の戦い。肺を患う田村一等兵視点。補給物資がないまま送り込まれた島で彷徨う兵士たちが、飢餓によっておかしくなっていく。主に対敵ではなく対味方。

田村は運良く芋や塩を見つけ、すがる人には分け与えた。「惜しみなく」ではない。病気と飢餓による諦めと生への執着が葛藤し、現実味のある人間性が作り出される。
弱者に描かれる田村だが、様々な駆け引きの中で偶然にも生き延びる。

欲に負けそうになりながら人間を食うことを拒み続けたものの、ラスト10分で物書きの生活に戻った様子が描かれた際、彼の精神状態は「最終的には食ったのだろうな」と思わせるものだった。
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