いままで観たどんな戦争映画よりもキた。「プライベートライアン」とか「ブラックホークダウン」とか「ダンケルク」とか「ハクソー・リッジ」とかより生々しくてやばい。
戦争も病も飢えも等しく人の命を奪っていくが、人間性を失って生きるのであれば死んだほうがマシと思ってしまった。
そこかしこに崩れて腐した屍体が転がっていても恐怖の声も上がらないどころか一瞥もくれないのね。ビジュアルのエグさはそのまま前線下の平常としてしか扱われておらず、だんだん慣れてくる自分の視点が登場人物たちの異常さと少し重なっていることに気がついた。あの中にあって狂い切れなかった村田、むしろそのまま帰京してからのほうが精神が耐えられないかもしれない(原作では耐えられなかったところまで述べられているようですね)。
たかだか70年ほど前に、わたしたちの祖父たちが若者だった時に、起きていたかもしれないこと。今でも世界のどこかで起きているかもしれないことだと思うと....。