トニパッキン

野火のトニパッキンのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
4.0
色々な戦争映画にちょっとだけ出てくる最も残虐で目を背けたくなる部分を集めたような熾烈な映画。これが戦争。もしこの映画に “匂い” までついてたら、自分はとてもじゃないが耐えられなかっただろう。圧倒的に美しい南国の自然の中でレイテ島民からはゴミのように嫌われ、芋一本のために仲間同士で罵り合って疑心暗鬼となり、寝たら仲間に殺されて食われるのではと煩悶し、アメリカの攻撃に遭えばぶちまけられた仲間の脳漿や内臓を踏みしめながら逃げ惑い、狂った頭で帰りたいと泣く。恐ろしいほど落ちくぼみ異常な光を放つ田村一等兵(塚本監督が演じてる)の獣のような眼球がすごい。この映画に誰も出資しなかったなんて狂ってる。