ハレルヤ

野火のハレルヤのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.6
塚本晋也監督自らが監督主演を務めた戦慄の戦争映画。
太平洋戦争末期のフィリピンを舞台に、結核にかかった一人の兵士の姿を通じて、戦争の凄惨な実態を克明に描いています。

驚くほど綺麗なフィリピンの自然と反対に、その場にいる人間は皆身も心も醜くなっていく様子が非常に対照的で印象に残ります。

戦争の最中なのに、武器も食料もなく、飢えや衰弱で敵と戦うどころではない状況。まさに生きるも地獄、死ぬも地獄。

敵からの容赦ない爆撃や銃撃により、次々と無惨な死を遂げる日本兵。その死に様もリアルなものばかりで、塚本監督の本気が伺えるほど。

塚本監督自身も役作りのために極限まで体重を落とし、飢えと結核に苦しむ主人公の田口の姿を、自らの身をもって表現していました。

戦後から70年以上が過ぎ、当時を経験した方がいなくなりつつある今の世の中で、「まさに今作らないといけない作品」と監督が語るように、生ぬるさは無く、ストレートに戦場の狂気が観客側に伝わってくるような作風です。
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