Yoshishun

THE LAST -NARUTO THE MOVIE-のYoshishunのレビュー・感想・評価

THE LAST -NARUTO THE MOVIE-(2014年製作の映画)
3.7
"ナルトおめぇ!下手な青春ものより青春してるじゃねぇか!
オラワクワクすっぞ!"


岸本斉史による国民的人気漫画「NARUTO」。2014年の連載終了と同時に発表されたNARUTOシリーズ最後の劇場版。原作最終回より前のエピソードとなり、"最後の物語は、はじめての愛"という宣伝文句に偽りない、ナルトとヒナタが結ばれるまでを描く。

恥ずかしい話、原作は最初の中忍試験までで止まっており、アニメはTVシリーズ第2期「疾風伝」の暁編で離脱してしまっています。というわけで、本レビューはNARUTO初心者といっても過言ではない側からのレビューになりますのであしからず。

冒頭文のテンションに戸惑われた方もいるかと思いますが、鑑賞中23歳のオッサンもキュンキュンしてしまう程、ナルトとヒナタが青春してるんですね。確かに原作では幼少期~下忍までのナルトはヒナタは良き友達位にしか思っておらず、ジャンプ主人公らしい恋愛鈍感さを持ち合わせていました。しかし忍界大戦辺りから直接ヒナタからナルトに遠回しに告白している場面があるらしく、月に向かう道中で幻術であらためてナルトにとってヒナタはどういう存在かを再認識させる展開が待ち受けます。勿論、冒頭から、忍界大戦の英雄としてモテモテのナルトにお手製のマフラーをプレゼントしようと奮闘するヒナタがウジウジしており、今後どういう展開を経て夫婦になったのかを期待させます。序盤は本当に日常系として、また青春ものとして初々しくも少し切なくなっていきます。

本作の敵トネリは完全に恋敵であり、ヒナタの取り合いをしているのがジワジワくる。ナルトに嫉妬し、ヒナタにマフラーを編んでもらうトネリは、律儀にマフラーを編んでる時には近くにいるし、いちいち「編んでくれてありがとう」を告げていくのがねちっこいです。

まあ本作は完全に原作ファンはナルトの活躍を期待すると拍子抜けでしょうね。実際各映画サイトでは低評価が目立っているし、酷評の傾向としては、「NARUTOというよりHINATA」「ヒナタ贔屓が酷い」「原作無視」と散々な言われよう。NARUTOが好きな人ほど、本作は酷評になりやすいそうです。ファンではないですが、さすがに月面落下の阻止とハナビ奪還というSS難易度の任務中にイチャイチャするナルトとヒナタ、マフラーを編むヒナタ、ヒナタに別れを告げられイジけるナルトと緊張感の欠片もない。

また冒頭の口調がカカロットなのも、後半月面での戦いがドラゴンボールそのものであることからです。スーパーサイヤ人同士のぶつかり合いだし、月面という無重力空間も全く感じさせない超人っぷりをみせる。NARUTOとは別物の映画をみている感覚でした。

NARUTOはこれで完結ですが、次回作『BORUTO THE MOVIE』がシリーズ最高傑作の呼び声高く、原作者・岸本斉史も「これ以上のものは作れない」と断言するほどの作品らしいので観てみようかや。
Yoshishun

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