JIZE

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのJIZEのレビュー・感想・評価

3.5
交通事故で妻を亡くし自分を見失った男が置き去りにした感情を次第に手繰り寄せていくヒューマン映画‼破滅を経て辿り着く行方は?という未知なる主題。喪失感に苛まれた人間の"破壊と修復を巡る話"だった。また今回でも主演ジェイク・ギレンホールの憑依(カメレオン芝居)は冴えたと言える。原題は『DEMOLITION(=破壊)』。所謂,人生に1度絶望した男が逆境から立ち上がり"仕切り直す姿"が中心に描写される。また題材はシリアスで内容が超コミカルな視点の転換が充実していた。不在であるはずの奥さんが残したメモを頼りにストーリーテリングが進行するプロセスは昨年観たジュゼッペ・トルナトーレ監督の『ある天文学者の恋文(2016年)』を連想させる。全編は"破壊=変化"の比喩を織り込み展開され人生で築いた経験値を1度ゼロに戻し真の己と向き合う姿は本当の意味で亡き妻と向き合い感情を通い合わせた証だろうと感じる。偽の仮面を1枚1枚剥がし破壊(行為)が再生(行為)へ見違えていく様は人間的で神々しい。人間の内側に潜む真の揺るぎなき感情へ迫った作品。破壊と再生は常に隣り合わせで主役の立場に置き換えて観る事を是非お勧めしたい。
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