人生の解体。否が応でも進み続ける人生だからこそ、"文字通り"急ブレーキをかけることは、隠喩をそのまま実行してしまう男の奇天烈な旅の始まりにふさわしいものだったのではないでしょうか。
初めて予告編を見たとき、ちょっと話が臭すぎるのでは…と思いましたが、ジャン=マルク・ヴァレ監督の感傷的になりすぎない演出のおかげで、自然に物語に引き込まれてしまいました。
考えてみれば、"壊すこと"はその対象と向き合うことに他ならないわけで、破壊を通して見過ごしてきたものを認識するという構造には納得せざるを得ません。
主人公と心を通わせていく男の子のキャラクターも素晴らしく、アナーキーで超カッコイイんですが、実はそれだけではないところが良いんですよね。
"破壊"と"修復"という一見相容れないものを同時に見せ、そのことを象徴するラストも印象深かったです。