Utopia

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのUtopiaのレビュー・感想・評価

3.7
妻から夫へと残されたメッセージは何だったのか。突然の事故で亡くなった美しい妻の不在を悲しむ事が出来ない主人公のデイビッド。

残された彼の記憶の中から彼女の人柄を知る。裕福な家庭で生まれ育って、何不自由ない人生を送ったであろう彼女の片鱗を見てるよう。1番近くにいたはずの夫でさえ知らないのだ。

このSNS全盛期に前時代的なツールの手紙が用いられるあたり、どこか良い意味で時代錯誤的なニュアンスがあり、正直なところ突っ込みを入れてしまいたくなる気持ちもあるのだが、それを超越した何か、感動とは別の重い衝突がある。

妻のジュリアとの別れも唐突であれば、新たなキーパーソンとの出会いもいささか不自然さは残る。が、ジェイク・ギレンホールの破壊活動に勤しむ日々を通して、次第に人間らしさを取り戻す工程にこそ重要性があり、その他の要素はないがしろでも構わないのかもしれない。

序盤の葬式で参列時に無理して泣こうとしたデイビッドが、終盤の車に乗り込むシーンで、不意に嗚咽を漏らして涙する姿に込み上げるものがあった。
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