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雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのabenobのレビュー・感想・評価

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奥さんを交通事故で亡くしたエリートのデイヴィス(しかも、奥さんの父親がやってる投資会社に勤めてる)が、色んなものを「破壊」していって、最終的にどうなるか?というお話。

邦題は賛否両論あると思うし、あってしかるべきだと思う。原題の「Demolition」は「破壊」とか「打破」という意味らしくて、確かに、そういう意味では合ってる。だから、邦題の無駄にロマンチックな感じで見始めると、途中まで「なんじゃこりゃ」感が強い。

正直に白状すると、僕は途中まで「くそ映画」の認定をしかけていた。単に、僕の好みではない、ということだけだけれども。

奥さんが亡くなって、(なんか知らんけど)色んなものをぶち壊したくなって(実際にぶち壊して)、ひょんなこと(ホントに「ひょんなこと」だ)から知り合った女(しかもシングルマザーの彼氏持ち)とデキて、自分の生活や義理の両親との関係もぶち壊しかけて・・・このまんま、「ハイ、奥さんとの間には愛はなかったけど、真実の愛を見つけたよね~テッテレー」とかなったら、ホントにくそ映画認定しようと思ってた。

しかし。そこは「ダラス・バイヤーズ・クラブ」のジャン・マルク・ヴァレ。きっちりひっくり返してきた。

というか、デイヴィスに(しかも、義父に向けて)「愛はありました。おろそかにしていただけで」というセリフを言わせるがため、そして、あのメリーゴーラウンドのシーンを見せるために、これだけの前振りをしてきた、というこのすごさ。壮大な前振りからの、エンディングへなだれ込む感じ。うん。嫌いじゃない。というか、知らないうちに泣いてた。

色んなものをぶち壊し、ぶち壊して、やっとこさそこにあったものに気付く。そして、再生していく。

万人受けする映画かどうかはわからない。ただ、「自分がくそみたいな男だ」という自覚のある人は、観ると良い。たぶん、少し救われる。なぜなら、僕がそうだから。

自分のライフステージと微妙に重なるところがあって、思わず涙してしまった。決して分かりやすい映画ではないし、ホントに終盤までは「オイオイ」感がスゴイので(ただ、それだけに終盤の畳みかけがゴッツリ来る)、我慢強い人にはおススメ。あと、倦怠期のカップルで観ると良いかもしれない。
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