六

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの六のレビュー・感想・評価

4.0
彼は妻を愛していたのか?

思い返してみると、その答えは作中に何度も描かれていたのだと気づきました。
随所に小さな伏線が散りばめられていて、見落としてしまいそうな、何でもないようなシーンで張られ、そして回収されていきます。
いくつか「あのシーンは何だったんだろう?」と思いましたが、デイヴィスのその記憶こそが妻への愛情なのかも。

ジェイク・ギレンホールって、感情が欠落している人間を演じるのがすごくうまいと思うんです。
そんな人間が、探していた感情を見つけた瞬間は、見ていてぞくぞくするし、何故か私も泣いてしまった。
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』という邦題は、長いし、覚えにくいし、と思っていたのですが、観賞後には「良いタイトルだ。」と思えた。
私はすごく好きです。
本当に何気ないシーンに登場する言葉だけど、デイヴィスにとって重要なシーンでもあります。
原題のDEMOLITIONは破壊という意味らしく、冒頭の事故のあとこのタイトルコールが出ると、妻との幸せな日々の破壊という意味にとれます。
しかし物語がすすむと、自分のもつすべてのものを破壊し、そして再生するというこの作品のテーマに繋がります。

大人になるほど、正直に生きるって難しい。
でもラストのデイヴィスの姿は、本当にスカッとした。
私がこどものころ好きだったものは何だっけ。今度ゆっくり考えてみようと思えた。
現実的に考えて、住んでいる家を自分で壊すなんて無理だけど、憧れる。すごくすっきりするんだろうなー!
迷ったら、壊す勇気は常に持っていたい。
六