ガンビー教授

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのガンビー教授のレビュー・感想・評価

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時々街中で見かけるヤバそうな輩、というのを演じさせたらさすがにジェイク・ギレンホールは上手い。

妻が突然の事故で死亡、全く実感の持てない中年男が衝動的な行動を取ったりものを破壊したりしながら日々をやり過ごすなか不意に同程度の年齢の女性に出会い、交流を深めてゆく、という、100000000回ほど繰り返されてきた筋立てだが、編集や音楽使い、演出の丁寧さや巧さでそこは引っ張ってゆく。

主人公の頭の中、自分の世界と現実の世界の区別が付きにくく撮られている。死んだあと、鏡や水たまりに不意に映りこむ妻はJホラーの幽霊に似ている。また、主人公が新たに出会うことになる女性も、序盤では「この人は本当に実在するのだろうか? 彼の妄想では?」という疑念を捨てきれないように演出されている。

その居心地の悪さもストーリーテリングの過程で解消されるのだが、しかし、どうも小綺麗にまとまり過ぎてはいないかという結末を見せて終わったところでこの疑念がもう一度頭をもたげてくる。エンドロールのジェイク・ギレンホールの声が、ちょっとだけ不穏な印象を後押しする。
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