いっぺー

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのいっぺーのレビュー・感想・評価

4.2
ジェイクギレンホールとナオミワッツ。これは見るしかない。と思って鑑賞。

個人的に今年見た中でトップクラスに好きな作品だった。
とりあえず、ジェイクギレンホールのあのどことなく何かがおかしい感じの演技のうまさは最高。
そして、ナオミワッツが良すぎた。

車内で、仕事の会話をするデイヴィスと、音楽をかけながら運転する妻ジュリアのシーンから始まる。仕事のことしか興味なく、車内の音楽を止めてほしいデイヴィスと、冷蔵庫の水漏れを直すことや椅子以外に座ることに興味がないのねなどと、告げる妻ジュリア。
まず、冒頭のこの会話での何気ない夫婦の会話からの関係の脆弱性、そして、後々の話の伏線。実に巧妙。
そして事故が起こる。

走馬灯のようなカメラのカット割りでの細かいシーンの連続。回想シーンでの細かい断片的な映像も素敵だった。

そして、自動販売機でM&Mが出てこないことからのクレームの手紙から、ナオミワッツ演じるカレンとの交流が始まる。

妻が死んでも、泣けないデイヴィス。会社社長で妻の父のフィル。フィルの名前いじりから手紙は始まるが、その手紙で、自身の境遇を話すことで、鑑賞者にも説明する演出。

手紙のやりとりをする。そして、妻との愛を探る。フィルの「分解しろ」という会話。駅で毎日会うおじさんとの会話。そして冷蔵庫の水漏れ、気になるトイレのドアの軋み。フィルの家の電気のチカチカ。すべてが気になり、破壊、分解衝動に走るデイヴィス。
そこから、どんどん破壊分解していくさまが実におもしろくて爽快。
ほんとは、やってはいけない妄想をしながら破壊をし続けるデイヴィスは、やがて、ナオミワッツと直接会うことになる。
そして、子どものクリスと出会って、お互いに心を通わせていく。

時折、流れる妻ジュリアとの回想シーン。
どこか、破壊分解をしていく感情が通じる、カレンとデイヴィス。
そして、終盤、自宅を壊すシーンのカタルシスたるや。面白い。

途中の、巻き戻しの雑踏のシーンや、音楽にのりながら町を練り歩くシーン。確実になにかがおかしいデイヴィス。何かが欠けてる。ちょうどマイマイガにかまれた心臓みたいに。

タイトルの雨にあるように、水が流れるシーンが多い。
シャワーシーン、スプリンクラー、最後のパーティでの雨、そして涙。
印象的だった。

そして、家の解体により、妻の秘密を知るデイヴィス。妻との愛を探るうちに本当に妻を愛していたのかどうかを深く考え始めるが、けっして、それについてこの映画は深く言及することはない。ただ、その愛を探る過程での破壊・分解衝動による、一人の壊れた男の生き方を描いている。

車でずっと追いかけてくる男の伏線や、ニホンザルの毛づくろいを見るシーンや、かけっこの伏線。ささいなところでのセリフや演出がとても好きだった。

そして、最後のメリーゴーランドのシーン。少年とのかけっこのシーン。

時間の流れもぶつぶつ切れている印象があった。
釘をふんで、足を痛めたからか、少し前のシーンでは足を引きずっていたり、、
もう一回じっくり見たい作品。
もう一回見ると、本当によくできた映画であることが再確認できるだろう。
いっぺー

いっぺー