HidekiAndo

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのHidekiAndoのレビュー・感想・評価

4.0
妻を愛していなかった
悲しい話だけど
彼女が死んだのに つらくとも何ともない

交通事故で妻ジュリアを失うデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、その事実を知っても泣く事が出来ない。
それどころか妻の死の直後に買おうとしたm&m'sが引っ掛かって出てこない事に腹を立て、妻の葬儀の日にその自販機の業者宛に苦情、それに至る話までを手紙に書く始末で、妻の死が自分事にならない。
葬儀の翌日普通に会社に出勤してきたデイヴィスに対し、社長でジュリアの父親フィル(クリス・クーパー)は、デイヴィスを心配し、『心も車と同じように、分解して隅々まで点検し、組み立て直さないといけない』と、医者に行くように勧める。
デイヴィスはそれを文字通り受け取り、妻に言われていた『冷蔵庫の水漏れ』を直そうと、冷蔵庫を分解し始める。
そんな時、自販機のベンダー会社の顧客担当カレン・モレノ(ナオミ・ワッツ)という女性から、深夜に電話がかかってくる。
デイヴィスは彼女に興味を持つようになり、距離を詰めようとし始め、それと同時に、義父の家の照明、調子の悪いPCや、会社のトイレの個室のギィギィ音がする扉等、『気になってはいたが放っておいた身の回りの物』を分解し始めるようになる。
また、奔放なカレンと息子クリス親子との心を通わせる事で改めて、今までは気付けなかった、ジュリアからの『メッセージ』が、身の回りにあるのに気付き始め、ジュリアの思いに触れるデイヴィス…。

ショックな事が自分の身に起きた時、それに目を背けたいのか、その他のどうでも良い事ばかり気になるというのは、ものすごい理解出来ますね。本当に考えなければいけない、しなくてはいけない事が、後回しになってしまう。

主人公はそれを『分解、解体、破壊』を不器用に積み重ねる事で、また人のそれを目の当たりにする事で、本当に自分がしたい事、自分の思いが見えてくる、というプロセスを、少ない説明で描いていました。

『あ。終わった』と思い、こうして作品を思い出しながら感想を書いてる内に、時間差で『あ。良いな』とジワジワ来る、なかなかニクい作品です。
ヤラれました🙏。

にしても邦題、良いんですが、ちょっとヒネリ過ぎじゃないですかね😁?
HidekiAndo

HidekiAndo