kuzira

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのkuziraのレビュー・感想・評価

3.6
恋はメリーゴーランドとは上手くいったもので
その距離は縮まらない、速さも変わらない
進む方向も見つめる先も一方しか向かない
華やかな見た目だけの単純なアトラクション

妻の乗る馬から僕の乗る馬は見つめられて
僕の乗る馬からみえる僕の視線は
おんなじ景色、おんなじサイクル

同じメリーゴーランドに別々に回り続ける
日々に違和感はなかったし、時は経つ
いつしか君がメリーゴーランドからいなくなって
初めて君の視線を辿り回る日々を巡らせる

僕はメリーゴーランドを降りて色んな事に
初めて気がつく、気になる、試したくなる

あの生活を壊してみては、また繋げて
悲しみに暮れる方法を見つけられるのか
結局、妻の事を愛していたのであろうか

明確な形が存在しない感情なんて壊せない
悲しみ方も愛し方も愛され方もわからない

もう形の無いものを分解する事はできない
もう形の無いものを再生する事はできない

いつだって記憶の破片で蘇る妻は僕だけを見てて
君ってどんな人間だったのかもわからずに
さようならなんて言えないものなんだね

君から僕に宛てられた最後の付箋は
雨の日は会えない、晴れた日は私を想って

僕からの愛を望んでいた妻の言葉は
余りにも愛しくて晴れた日に君に涙した
kuzira

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