恋はメリーゴーランドとは上手くいったもので
その距離は縮まらない、速さも変わらない
進む方向も見つめる先も一方しか向かない
華やかな見た目だけの単純なアトラクション
妻の乗る馬から僕の乗る馬は見つめられて
僕の乗る馬からみえる僕の視線は
おんなじ景色、おんなじサイクル
同じメリーゴーランドに別々に回り続ける
日々に違和感はなかったし、時は経つ
いつしか君がメリーゴーランドからいなくなって
初めて君の視線を辿り回る日々を巡らせる
僕はメリーゴーランドを降りて色んな事に
初めて気がつく、気になる、試したくなる
あの生活を壊してみては、また繋げて
悲しみに暮れる方法を見つけられるのか
結局、妻の事を愛していたのであろうか
明確な形が存在しない感情なんて壊せない
悲しみ方も愛し方も愛され方もわからない
もう形の無いものを分解する事はできない
もう形の無いものを再生する事はできない
いつだって記憶の破片で蘇る妻は僕だけを見てて
君ってどんな人間だったのかもわからずに
さようならなんて言えないものなんだね
君から僕に宛てられた最後の付箋は
雨の日は会えない、晴れた日は私を想って
僕からの愛を望んでいた妻の言葉は
余りにも愛しくて晴れた日に君に涙した