JTKの映画メモ

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

4.0
2017年のベスト3に挙げたいくらいの傑作なのに邦題の酷さはワースト1。これではぱっと見ジェイク・ギレンホールとナオミ・ワッツとの通俗的な恋愛ものに見えてしまう。が、そこはグザヴィエ・ドランと並びカナダが誇る鬼才ジャン=マルク・ヴァレ、一筋縄ではいかない。妻の死からの喪失と再生という凡庸な監督なら陳腐でベタになりがちなテーマを絶妙な角度から描き尽くす。破壊或いは解体と再生。狂った主人公(ジェイク・ギレンホール)はひょんなことから知り合ったゲイの美形の息子とその母(ナオミ・ワッツ)との交流により再生していく。最後泣けた泣けた自然に泣けた。泣ける映画なんて進んで観ないし観たくもないのだが巧く泣かせてくれれば話は別。ギレンホールも良かったがナオミ・ワッツの名演技観るだけでも価値あり。ゲイの息子(名前知らない)も今後が楽しみ。部屋にあったボウイのLPレコード(Diamond Dogs)見ただけでこの監督信用に足りるわ。
後でレビューをいくつか見たが「わかりにくい」とか「寝た」とか書いてあった。それは答えが一つしかないクソつまらんアメリカ映画の観すぎによる弊害。「映画は感覚で観る」ということを教えてくれた淀川長治さんが草葉の陰で泣いておるわ。