renacinema

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのrenacinemaのレビュー・感想・評価

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人はあまりにも突然に、そばにいて当たり前だった存在を失った時、
その人がもういないということに悲しみ、涙する前に
感情の行き場を失って、無感覚になるのだろう。ジェイク・ギレンホールが素晴らしくって、胸が詰まった。

私も、破壊(解体)したい衝動に駆られることが、時々ある。だけど実際には出来ないし大抵の人間はそれを隠して生きているはずだ。
今の世の中、現代の生活にはモノや情報が溢れ過ぎていて、本当に大切なものや必要なものが埋もれてわからなくなっている気がする。本当の豊かさって何だろうかと、時々考える。
妻を亡くしたというのに全然悲しくない自分はどこかおかしいのか?他の人間とどこかずれているのか?まるで自分自身を解体するかのように、調子の悪い機器を分解し始め、しまいには家中の物を壊していくデイヴィス。彼が気持ち良いくらいに家の中を壊していく光景は快感でもあったが、同時にどうしようもなく悲しかった。
冒頭からほとんど感情をあらわにせず、妻が亡くなっても涙を流さない彼の姿をみていて私が泣きそうになった。
何かを失くして初めて気がつく自分の気持ち。
スッポリと空洞になった彼の身体の中、何かに齧られた心臓。
その空白が、少しずつ取り戻されていく。
前と全く同じ姿形にはなれないかもしれないけれど、
彼はきっとこれから、前向きに生きていける気がする。
喪失から始まる物語だが、ラストシーンで光を感じた。全体を通して、美しいと思った。