マッチョデーモン

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのマッチョデーモンのレビュー・感想・評価

3.7
『永い言い訳』とは似ているようで違っていてやはり似ている。違いは『永い言い訳』が自分が知らなかった妻を知るのに対してこちらは自分を知るのがメインな点。

分解がテーマになっていて家電に始まり自分から金を払ってまで解体業に従事し家を破壊する。マゾヒスティックなまでに危険に身を晒すのも破壊一直線。遂には妻の両親との関係も破壊し、この辺で幽霊のように付きまとっていた妻の幻影から解き放たれ、自販機の苦情受付係との新しい関係に生きるのか。徹底的に冷酷なまでに過去を破壊して未来を築くのかと思っていたがここでまた新たな局面。100分程度の尺の内90分くらい破壊していた中で迎える再構築の濃密さは短いながらも破壊の時に劣らない。

小難しそうな映画に見えて案外分かりやすい。と言うのも割と言葉にして説明している部分があって、分解は序盤から台詞に出てきてて象徴を口に出したちょっと後にはロックバンド『ハート』の名前を出した上にMRIで欠けた心臓を映し出す。この辺はベタベタすぎと感じる。古いロックバンドやセクシャルマイノリティーへの言及、エゴイスティックな男の変化などジャン・マルク・ヴァレ監督の過去作『ダラス・バイヤーズクラブ』と通じるものを感じてこれが持ち味なのかな。他作品も追ってみようかなと思う。