磔刑

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの磔刑のレビュー・感想・評価

2.7
「共感出来ればあなたも立派なサイコパス!」

大事な人を失ってもその実感が湧かず、負の感情すら失う事がある。その喪失を受け入れ、人生の新たな一歩を踏み出すまでの心温まる物語。の様に表面的には見える。が、個人的にはデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)の冷血で薄情、感情の起伏が乏しく、他人との共感を著しく欠如した言動、奇怪な行動の数々はサイコパスの兆候直球ド真ん中過ぎて、平凡な人間の喪失を描いたドラマには決して見えなかった。

血も涙も無く、感情の通っていない数字の世界だけで生きる銀行員としての成功。愛してもいない会社のCEOの娘との結婚などから見て取れる狡猾な行動を鑑みるとデイヴィスの異常性の原因は妻を失った事による後天的な要因ではなく、先天的にその様な人間なのだと思わざるを得ない。
なので平均且つ一般的な人間の“喪失からの再生”の物語では無く、精神病質者が人生の転機をキッカケに自分の異常性故に手に入した社会的地位や名誉、成功者としての生活を破壊し平々凡々な人間に成長(変化)するまでの話なので大多数の人からすれば共感なんて出来ようも無いのは至極当然だ。そんな訳でデイヴィスの異常行動を楽しむ方向にシフトして鑑賞した方がそれなりに楽しめる。