SPNminaco

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのSPNminacoのレビュー・感想・評価

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柱時計を解体し、夫婦家族を解体し、家を解体し、記憶を解体し、自分の心を解体する解体映画。バラバラの欠片をモンタージュするかのように、各シーンも敢えて断片的に構成されている。ギラついた眼と狂気のギレンホールは妻を突然亡くした後、自分のどこに何がどうあったのかを必死で知ろうとするが、周囲にははた迷惑でもある。そんな彼にシングルマザーの苦労人ナオミさんが共鳴し救いとなるかと思わせて、実はその息子と連帯を育むための触媒であった。息子もまた自分を知ろうともがく解体仲間。その辺りから面白くなるのだが、あくまで主人公のインナースペースを旅する映画。やましさと自己破壊衝動を抱え、同情を一切拒絶するけど、孤独ではない。その姿は同じくジャン=マルク・ヴァレ『わたしに会うまでの1600キロ』と重なる。そしてこれもひとつの喪の仕事と言えそうだけど、最後はきれいに収まり良すぎるような気もした。そういや、クリス・クーパーはまたギレンホールの父だ(義父だけど)。
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