あでゆ

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのあでゆのレビュー・感想・評価

4.1
ウォール街のエリート銀行員ディヴィスは順調に出世し、リッチで何不自由のない生活をしていた。ある日、交通事故で美貌の妻が他界するが、涙を流せず、感覚を失っていることに気付く。彼は義父の言葉をきっかけに、身近なものを壊し始める。

『ドニー・ダーコ』とか『ノクターナル・アニマルズ』とか、この手の映画に関してジェイク・ジレンホールは本当に信頼ができる。病院のシーンでの心臓が蛾に食われてるから感情を喪っているんだと諭されるシーンは『複製された男』にも似ている。

嫁の死をきっかけにして無感動になっていた自分に気づき、生きる意味を見出そうとする傑作。自らを抑えきれず破壊衝動に興じる様だったり、ラストでビルが一斉に壊れていくシーンは『ファイトクラブ』を観ているようで、あの恋人や息子は本当に存在していたのだろうかと、若干曖昧になっていく。
とはいえ、ラストのビルが壊れるシーンではディヴィスが壊れたことそのものにはそんなに高揚しているように見えない。本作は最終的にメリーゴーランドを”直す”ことで、自らの心も修復する男の物語。物が壊れることに喜ぶのではなく直すことに喜びを見出すことができるようにまで治ったと自覚したとき、男はメリーゴーランドまで本気で走っていく。

映画全体はとにかく説明を控えることに徹底していて、初見だとなんだったのかよくわからないシーンが多い。例えばデイヴィスを尾行するワゴン車の正体はセリフでは明言されないが、彼が墓参りをしている際に一瞥するワンカットのみで語る。

少年のジュダ・ルイスは可愛すぎて、ちょっとショタコンになりそうになった。
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