蟬丸

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの蟬丸のレビュー・感想・評価

3.9
破壊と再生の物語なんて今日日掃いて捨てるほどあるが、その量の割に粒揃いなのでついつい見てしまう。
この映画は冒頭で妻が死ぬところから始まる。ただそれ自体が"破壊"なのではなく、そこからさまざまなものを文字通り破壊していくという形で"破壊(分解)"が行われ、バラバラになったことで"解明"される。そのことによって夫婦関係と彼自身が"再生"するという構成が綺麗。『永い言い訳』に少し似てる。クリス、カレン、義父などの脇役との絡み方も良い。
世に蔓延る、現状に満足していない人々の破滅願望みたいなのは実は破滅したあとの自分を確認し、そこから再生することを含んだ破滅なのかもしれない、と思った。
邦題は良いとは思うけど、ちょっとミスリーディングかもしれない。
蟬丸

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