三郎丸

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの三郎丸のレビュー・感想・評価

4.0
【作品のクセが強い!】
…でも、見終えると不思議と胸がジーン
色々こみ上げるモノがある大人向けの作品。

お話は、
突然の自動車事故で妻が亡くなったが、【何故か】悲しくない、涙も出ない、自分の心はどうして最愛の妻が亡くなる最悪の状況にリアクションが薄いのか…
運命に翻弄され当たり前の生活に戸惑う主人公を、ジェイク・ギレンホールが
魅力的な人物を演じるんですが、まーうまい!(軽く変人の匂いがするんですけど、演じる才能の塊)

妻の不幸のあと、
「車の修理も心の修理も同じことだ、まず隅々まで点検して組み立て直すんだ」という妻のモロ悪人顔の義父(クリス・クーパー)の言葉通り、生前の妻に修理を頼まれていた水漏れ冷蔵庫、会社のパソコンやトイレ、はじめは分解という感じでユーモアも感じられたが、それがどんどんエスカレート。
そして物だけではなく、今まで無自覚になっていた人間関係も崩壊を始める。
ここで思うのは、
【主人公は妻が死んで悲しくなかったのだろうか?】
そうではないような気がする、恋に破れたことのある人は特にわかると思います。
自分の心が壊れないよう守るため、心が勝手に閉じてしまったのかもしれない。
心の扉を再び開放するためには、破壊(きっかけ)と、やはり人の心に触れる必要があるのか…(人は弱い生き物です!)
主人公が必要としている人の心。
この映画ではナオミ・ワッツとその息子を差しますが、息子役が良いです!
悩める少年の持つ雰囲気とセリフは、この映画の副産物です!

主人公がすべてを壊した先に見えてくるもの、
「妻との愛はあり、愛をおろそかにしていた」
ことに気が付く、その言葉はとても深いい、実在する多くの夫婦にも言える!大切に大切にしなければいけないものに主人公は気が付かなかった…(愚かですが男は皆似たようなものです)

監督は、
人生のつらさや苦しさから心を閉ざしてしまうこともある、しかし、実は人生ってとてもとても美しく尊い。苦しいことより…というようなことをなかなかのクセ球でぶん投げて来ます。
この球筋をきちんと見た人の眼には映画のラストには涙が流れる。

作中、いろんなエピソードが詰め込まれている、それぞれがとてもセンスが良い、そのシーンにかぶさる音楽の使い方も良いです!
エピソードの積み重なりがラストシーンに。
何度も見れる文句なしの映画。
特に沢山恋愛した過去がある人、今の夫婦関係が当たり前だとモノ凄い勘違いしているおっさんにとてもオススメ。

若干荒れ球が過ぎるのでソコだけ減点!
三郎丸

三郎丸