なっこ

ローズの秘密の頁(ページ)のなっこのレビュー・感想・評価

2.8
原作は、未邦訳なのが残念。本を読んで補完したいところがいろいろとあるなぁ、というのが最初の感想。

女性の一代記のように見せて、実は男性から見たある女性の魅力という印象が強くて、腑に落ちない点が残る。その違和感が宗教観や文化の違いから生まれたものなら、それはそれで、アイルランドやキリスト教について私自身がまだまだ知らないことが多い、ということなのかもしれない。ヒロインの内面に深く入り込めなくてなかなか共感させてもらえない。一体何に阻まれているのだろう、それがとても気になっている。

どの視点に寄り添うかでstoryは大きく変わる。
私はヒロインよりも、もう一人の主役である神父に共感を寄せてしまったのかもしれない。彼の犯した過ちは決して許されるものじゃない。けれど、なぜそのような経緯を辿ったのか、何処かで彼女を救済する手立てはなかったのだろうか、とヒーローになり損ねた彼の苦悩をもっとのぞいてみたかった。

若き日のヒロインを演じた女優さんがとにかくお綺麗で、第二次世界大戦当時の衣装がとてもよく似合っていて素敵でした。もちろん年老いたローズも真実味のある語りに惹きつけられる。だから彼女に魅力を感じる医師の気持ちにとても共感出来て、ラストは彼と同じ気持ちになって本当に感動できた。

誰かの恋人や妻としてよりも母として生きようとしたヒロイン。たとえその子を手元から奪われていても、その悲しみや苦しみを受け止めて、自分を支えるための希望をどうやって見出して、囚われの身で生きながらえてきたのか。ヒロインの奪われても尽きない強さが際立つ描き方であったように思う。
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