ほおづき

世界一キライなあなたにのほおづきのレビュー・感想・評価

世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)
3.5
題材はいいのに何かもの足りない映画だった。
『アバウト・タイム』とか『アデライン』とか・・・・メインビジュアルに赤いパーティドレス着た女性と背広の男性がレイアウトされてる映画と相性が悪い。。。
ターゲット層ではないんだろうなぁ


事故で四肢麻痺になってしまった男性が生きる意味を失い死を選択しようするが、主人公が献身的な想いでそれを踏みとどまらせようとする物語で、尊厳死をテーマにした作品。
主人公の女性は失業したばかりで、田舎に住むお世辞にも生活が豊かとはいえない家の女の子。それに対して四肢麻痺の男性は大富豪で性格も良い(良かった)イケメン。
彼女の持ち前の人間性の良さと献身的な支えによって二人は距離を縮めていくというおはなしで、障がい者になっていなければ絶対に親密になることはなかった不釣り合いな関係性。

安楽死で死ぬ権利を訴える「ディグニタス」っていう団体があるってことは単純に勉強にはなったが
この物語の焦点は、もともと悠々自適だったリア充がどん底に落ちてしまった時に感じる絶望感で、落差が激しいからこそ生きることを諦める選択をすることからくる葛藤。それ程に四肢麻痺が辛いということもわかる。

ただ・・・これラブストーリーにする必要あった?という気持ち。
しかも、主人公の動機が軽薄すぎると感じたのか、とってつけたように比較対象のための感じの悪い彼氏を配置してる・・・別に彼氏いない設定でもよいのでは・・・?
逆にこれがもし、彼が死にたいと思っていない物語だとしたら・・・
身体が動かなくなって車椅子生活だけど素敵な彼女できたわーい♥っていう薄っぺらい物語になっていただろうからこれでもいいとは思うのだけど・・・

そもそもほんとに焦点を当てなきゃいけなかったのは、安楽死を許してしまう父親との確執。何度も自死するくらいならせめて尊厳を与えてあげようという父親の親心。そしてそれを何がなんでも阻止したい母親。そこにドラマがあったように思う。
もし彼がお金持ちじゃなかったら、四肢麻痺でもこんな恵まれた生活はできていなかったかもしれない。そしてそれはご両親のお陰でもあるわけだし、ほんとは誰よりも父親が悔しいんじゃないかと思うのに、親子の描写があまりにあっさりと描かれていたのがもったいない。

何かが足りないというか付け足しすぎなのか・・・
もしかして構想段階で『最強のふたり』が先に公開されちゃって、やっばってなって無理やり恋愛モノにしたのかと邪推してしまうw


これ高評価だけど、さすがに海外の人はどう思ってるのか気になって調べたら
https://www.metacritic.com/movie/me-before-you
メタスコア51点 ユーザースコア6.8

あ~・・・
日本では、ちょっと炎上したみたいだから評価が上がっただけかもしれないなぁ。
原作のほうはいいっぽいなぁ・・・

原題 『me before you』(君と会うまでのぼく)
小説版『きみと選んだ明日』
映画版『世界一キライなあなたに』
ほら~タイトルにもまよいが感じられるよw!