エクストリームマン

クリムゾン・ピークのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

クリムゾン・ピーク(2015年製作の映画)
3.0

ギレルモ・デル・トロだから、当然観たが……

ミア・ワシコウスカが本当にわからなくて、これまで出演作を幾つか観てはきたけど、なんでコイツなんだと思うこともしばしば。まぁ、自分がミア・ワシコウスカの「これ!」っていう映画を偶々見逃しているだけなのかもしれないけど。『アリス・イン・ワンダーランド』イメージの起用なのだろうか。なんにせよ、悲しいかな、本作でもそのわからなさが解消されることはなかったなぁ。

全体としては、終始物足りないというか、もっと見せてくれよという欠乏感に苛まれ続ける感じ。決して全否定するほど悪いわけでもないし、寧ろいいなと思う場面や演出等あったけど、それを上回るような「なんでこの道具使わないの」とか「え、そっちいくの(ストーリーが)」みたいなことが次から次へと……。

映画において、背景も重要なキャラクターになりうるというか、本作はテーマ的にも十分あの屋敷はキャラクターなわけで、それを生かさないのは何事なのか。エントランスの吹き抜けは、勢い余って(老朽化だけど)破れた天井から木の葉やら雪やらが舞い落ちて寒々しくも美しく、迷路のように入り組んだ廊下、無数の部屋、エレベータ等々“おいかけっこ”には格好の道具立てが揃えてあるのに(主人公のステータスの問題もあって)それらがあまり生かされないのが納得いかなかったな。勿体無いというか。色彩の調和とかには相変わらずコダワリがあって、雪原に染みだした赤粘土の地面、吹雪でホワイトアウトした画面、そこに浮かび上がる、波打つ金髪、みたいな場面とかは見栄え的にとてもよかった。

『パンズ・ラビリンス』とか『ヘルボーイ ゴールデンアーミー』にあった、異界と現世の対比みたいなものが欠けていたのも気になるところ。緊張感がない。まぁ、主人公の「性質」上、それを分けることが困難というか、ある意味どこでも異界なんだけど、かといってそっち方面、つまり主人公の「性質」に起因したパラノイアックな方向に進むというわけでもないのがなんとも。やっぱり、どうしても『パンズ・ラビリンス』と比べてしまうな。やりたいことは違うのだろうけど。

エグい場面は思い切りがよかった。眼下にナイフとかね。何より、洗面台使って……の生々しさたるや。ただ、最高のバイオレンスが序盤で炸裂してしまうというのはね。

キャストはねー。トム・ヒドルストンはトム・ヒドルストンだった。寧ろ彼こそこの物語の主人公であった、みたいになりそうなものなのに、そういう捻りは特になし。繰り返しになるけど、ミア・ワシコウスカはわからんなぁ。ジェシカ・チャステインは頑張っていたと思う。チャーリー・ハナムは影薄かったな。お前、なにしに来たんや感もあったし。バーン・ゴーマンの情報屋キャラは良かった。ああいう胡散臭い役が異常に似合ってる。

やっぱり、どう考えても勿体無いので、もし念願の『狂気の山脈にて』を映画化できることになったら、今回アレだったところとか、諸々加味して作ってほしいとか、不躾にもそんなことを思った。