このレビューはネタバレを含みます
まさにゴシック・ロマンス。しかも主人公をアメリカ人にして最先端のアメリカに対して、負けることが決まっているゴシックの古式ゆかしさ、退廃、維持することすら難しい時代錯誤な貴族意識が強調されている。映像の美しさ、特にアラデール・ホールの空虚な寒さがビシビシ伝わってきてよかった。随所に秘密を隠している幽霊屋敷、という設定を見事に視覚化している。
繊細でとにかく無能だが優しい弟が、姉の軛から抜け出すというストーリーは良かったと思う。ただ主人公がかれにとって初めて恋をした、という”特別感”がもうちょっと強調されても良かったのではと個人的には思う。