レオピン

カリートの道のレオピンのレビュー・感想・評価

カリートの道(1993年製作の映画)
4.1
やっぱりデパルマの映画っつうよりもパチーノの映画ですよ、これは。

倒置法ではじまる男のドラマ。
彼は分岐がない決められた一本道を歩んだ。堂々と。そうなることは初めから分かっていた。更生するんじゃないか。抜け出せるんじゃないかと甘いことを考えている観客を置いていくかのようになるべくしてそうなった。

受けた恩だけは誰であろうときっちり返す。このバカがつくほどの昔気質がカリート・ブリガンテという男だ。

あの検事の提案を蹴ったのはどうしてか。
論理的、合理的な判断ではなかったかもしれないが、彼なりの理がそこにあったはずだ。やはり長年裏社会で生きてきたからこそ、マフィアの本気の怖ろしさを知っていたのだろう。
弁護士を売って自分だけ逃げおおせる事が出来るような甘い世界ではない。店に手下たちがやってきた時点で助かる見込みはほぼゼロだ。

なるようになった 努力はした でも仕方がない なるようにしかならない
決められた道をただ運命どおりに進む 
なぜだか不思議と気持ちが前向きになれる映画だ。

それにしても雨の中で恋人ゲイルをうかがうあの顔。53歳にしてあの目。パチーノは目がいつも爛々としていてあれが彼の一番の特徴だと思うが時折りああいった目もする。あれこそ僕らの好きなパチーノ兄貴。部屋での諍いシーンも『恋のためらい』を思い出させてとってもよかった。

しかしデパルマはNYグランドセントラル駅にどんな執着があるのだろう。最後、一番巨漢の兄ちゃんだけなぜかエスカレーターではなく階段をヒィヒィ走らせるという仕打ちがおかしかった。

⇒エンディング ジョー・コッカー 「You are so beautiful」
⇒運命論的映画ベスト級
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