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カリートの道のnanaのネタバレレビュー・内容・結末

カリートの道(1993年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ギャングアクションかと思ったら、切ないラブストーリーだったな、という映画。
前者を期待していたので少し残念ではありましたが、決して悪い印象ではなく、ラブストーリーを主軸に据えたことでむしろギャングの話なのに独特の美しく儚い雰囲気を感じました。
音楽も美しく、特に主人公カリートがゲイルのバレエをそっと盗み見るシーンの挿入曲と映像の素晴らしいこと。カリートの恋愛に対しての純粋でひたむきな姿勢がよく見てとれるシーンでした。

また、ラスト30分はギャング映画らしく緊張感漂う演出で見てて楽しかったです。
クラインフェルドが撃てないように抜き取った銃弾をゴミ箱にポイするアルパチーノのシーンが特に好き。

最初アルパチーノのヒゲがもさもさすぎるのに戸惑いを感じましたが、すぐどうでもよくなりました。ものすごく、渋くてかっこいい。むしろあのもさもさなヒゲが良い。

長年の勘を頼りにしたり、言葉の端々から今と昔の違いを気にする発言をするカリートからは、もう過去の人物であるという気後れ感、虚しさ、疲労感が漂っていて、また、それが周りの人間とうまく噛み合っていない様にどうしようもなく気の毒な気持ちになるのですが、同時にその姿がなんともいじらしくて、カリートというキャラクターそのものに好感を持ちます。
アルパチーノの演技力の賜物ですね。

ラスト、あんな小物にやられるのはちょっと納得いきませんが、それこそ、ああいう世界の掟というか、循環みたいなものが表現されているんじゃないかな、と理解しました。
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