菩薩

カリートの道の菩薩のレビュー・感想・評価

カリートの道(1993年製作の映画)
4.2
これまた何というタイミングでの放映であろうか。なんせこの映画はコカインで頭イかれたチリチリヘアーの親友との仁義を通そうとした結果、あと一歩楽園に手が届かなかった男の話である。“Zin-sayは電気グルーヴ、電気グルーヴは人生”と、ピエール瀧容疑者と歩いて来た半生をその腕に刻み込んだと思いきや、かつてピエール瀧容疑者とツーショットを撮った地で単身写真に収まる愛あるイジリを見せる石野卓球氏は、もはや本作におけるカリートばりに男の中の男であると思うが、果たして各テレビ局は「Zin-sayは電気グルーヴ」の本来の意味を、彼らが「ちんぽが臭い」やら「金タマが右に寄っちゃった」やら歌っていた時代を理解してこのニュースを流していたかは疑問が残る。ケラさん、今こそナゴム総決起集会やるべきではないですか?有頂天とZin-say、俺はマサ子さんと木魚が見たいけど、筋少に死ね死ね団とか諸々呼んで…って関係なくなっちゃった!序盤から関係なくなっちゃった!とハライチ風のこれを一回やってみたかっただけである。

一線を、越えた先には修羅の道、仁義の先には地獄が待つ。我が身可愛さで道を逸れれば、名誉と引き換えに手にする物も多かろう、けれどもカリートは己の道を邁進する。落とし前を付けたら、こんな世界ともおさらばさ、愛する人とお腹の命と、天国行きの切符はもうその手の中に、けれども彼の懐には、ずっと前から地獄行きの乗車券がねじ込まれていたって。あばよダチ公、来世じゃ互いにマシになろうぜ、さよなら愛する人よ、元気な子を産み達者に暮らせ、震える身体と鈍る思考の片隅で、彼が最後に思うのはきっとそんなところだろうか。それにしたって痺れるねぇ、電気ビリビリ、だねぇ、目的地まではノンストップ。
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