優しいアロエ

カリートの道の優しいアロエのレビュー・感想・評価

カリートの道(1993年製作の映画)
4.4
〈いつまでも抜け出せぬ修羅の道〉

 ギャングの世界で0から成り上がる話であった『スカーフェイス』に対し、本作『カリートの道』はギャングの世界から足を洗えるかどうかの静かで哀愁漂う物語だ。ギャングがその道から綺麗さっぱりと退くことなんてできやしない。主演がアル・パチーノということもあり、『ゴッドファーザー PARTⅢ』と重なった。

 本作は主人公カリート・ブリガンテのワルかった頃をまったく映さないため、カリートのことを外道のように見ることは案外難しい。しかし、かつては人を何人も殺めていたということなどがセリフから明らかにされていくに連れて、冒頭で明かされるカリートの死が因果応報的なものに思えてくるというところに妙味がある。

 散り際のギャングを演じたアル・パチーノが『スカーフェイス』との対比もあって素晴らしいのだが、加えて「最高で最低な相棒」を演じたショーン・ペンが尚よかった。彼は『グッドフェローズ』『カジノ』のジョー・ペシ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョナ・ヒルに負けないクソ野郎っぷりと、弁護士特有の知性とカリスマ性を備えた秀逸なキャラクターであった。

 『スカーフェイス』に比べればパワーは劣るし、魅力的な映像も少ないのだが、その抑えた感じが功を奏していた。途中、『シャイニング』さながらなシーンもあり。
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