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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のRのレビュー・感想・評価

3.5
86分まるまるずっと高速道路で車を走らせながら電話で会話する男だけを延々と描いた相当かわった映画。いままさに子どもを産まんとしている浮気相手に会うための車の中で、自分の奥さんに事情を話してマズイ状況になるのと、仕事の重大なプロジェクトの甚大な危機を回避できるかどうか、という三つの艱難の真ん中で、何とかすべてうまくやりくりしてやろうと、とにかく電話で喋りまくる主人公。このとんでもない設定をどう感じるだろうかと、期待半分不安半分やったんやけど、見てみると案外おもしろくて、会話内容のみから様々な関係や状況を想像させる86分、飽きることなくずっと見ていられたし、そのための演出が、映像的にも、演技的にも、音楽的にも、かなり練ってあるのが感じられてすごいなぁと思った。が、反面、やっぱり映画の面白さって、映像的なダイナミズムにあるってのは、個人的にははずせないかなーと。面白くなくはないし、工夫も見られるけど、結局ずっと同じような映像が続くのは否めないし、もっといろんな画が見たいって思っちゃうよね。あと、とにかく引っ切りなしにいろんなとこから電話がかかってくるんやけど、そりゃちょっと展開が上手く行きすぎじゃね? と感じざるを得なかった。主演のトムハーディは、声と表情だけの、まさにひとり芝居に、ものすごく情感的な奥行きと説得力を与えていて、スゴイとしか言いようがない。最後まで見続けれた大きな要因のひとつは確実にこの人の演技がスゴイからやろ。まぁ、かなりいけ好かない男ではあるんやけど笑 この人物像は好みわかれるやろな。オレはあんま好きくなかったです。あと音楽がもう少し記憶に残るくらいインパクトがあればよかったかなーと思う、雰囲気はよかったんやけど。総じて、面白かったけど、何かもうひとつ物足りないかなーといった印象でした。
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