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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のiのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

、、、え?これで終わり?
(まさかのクソ映画)と思いきやちょっと待て、これはとても身近な話で罪とプライドが深い映画ではなかろうか。

トム・ハーディ演じるアイヴァン・ロックは愛車のBMWに乗ってどこかへ向かっている。
Bluetoothでひっきりなしに電話をする姿が86分間続く。ただそれだけ。画面に映るのは夜の高速道路とそこを走るBMWを運転する1人の男のみ。(これがまた描写が良い。だからこそ見続けられた。)


翌日に大手建設会社の責任者を任されている彼は、仕事熱心で周りの信頼も厚く、今夜は家族と過ごす約束もしていたにも関わらず全ての優先順位を変えてでも向かっている先とは遠くにある病院。
そこには以前職場で知り合った寂しげな女に同情して、一夜の過ちをおかし身ごもらせてしまった不倫相手が今夜出産予定の2ヶ月前に破水してしまったと連絡を受ける。

相手に対してアイヴァンは愛情はなく、ただ同情から過ちを犯してしまったが
今まで相手に対して良くしてなかった為
1人で出産するのは可哀想だとまた、同情から病院へ付き添いに向かっている。

今回はただ、同情だけが彼にこの大きな決断をさせたわけじゃない。
アイヴァンの父親は家族を大切にしていなかった。それを亡き今もアイヴァンはもの凄く恨んでいる。だからこそ自分の父親とは自分は違うと、全て守る為家族に全てを話し、病院へ向かっている。誠実な行為に見える。



いくら好き勝手生きた自分の父親と同じにはなりたくないと言い、馬鹿正直に家族に‘‘電話’’で全てを話しけじめをつけたつもりだろうが、それは自己満足に過ぎない。と私は思った。
異常に自分の父にとらわれ正しいようで変なプライドが生まれたせいで、馬鹿正直に行動し
結果的に職場に大きな迷惑をかけ、家族を傷つけたことに変わりはない。
物語の続きがどうなったかは知らないが、想像する限り彼は過ちを犯す度に、都合のいいように自分に言い聞かせ自分だけで納得し、自分だけが悲劇のヒロインになるだけだろう。
自分は父親とは違うと言い聞かせ続ける。
こうなってしまった限り認めざるを得ないだろ。認めた上で父親とは違うと証明すればいい。自分の父親がしなかった、一つの家族を愛し続けるという証明をすればいいのに。

いくら相手の女が不憫で深い愛情も無くただ同情しただけだろうが、何よりそれが罪だ。
そんな同情、失礼過ぎる。
人を馬鹿にしたような気持ちを持って
頼られ続けるとでも思ったら大間違い。
アイヴァンが相手の女に嫌われるくらいのクソ男なら、それなりに相手の女も気持ちの整理がつき自立できたろうものの、適度に優しくするから、極度に心の弱い人からすると頼ってしまうのは当たり前かもしれない。惚れてしまったならもっと罪深い。愛情もない、ただの情だと言うが子供が生まれ、そうはいくだろうか?ましてや馬鹿正直でクソ真面目なアイヴァンが割り切った関係のままでいられるだろうか。

それなのに家族も手放したくない。というのはわがまま過ぎる。
過ちを犯してしまったのなら、
言い訳より償いをするべき。
世の中全てを手に入れようとすると、必ず何かを失う。


そしてなんと言ってもラストの息子とのシーンからは今回のアイヴァンが起こした罪の重さを1番感じられる。何の罪も無いのは子供だけ。
子供は理由も知らず、ただ空気が悪くなった父と母の仲を何とか取り持とうと必死に、自然に明るく振る舞う。その行動は昔の自分を思い出させるものではないのだろうか。彼の健気さ、罪の無さを感じられると共に、そんな無邪気な我が子を裏切ったと、アイヴァンは罪の重さを感じるべき。そして自分の父親と今の自分が何が違うのか、考えるべき。

それでも手に入れたいものなのか。
それより大事なプライドなのか。
彼にとって大事なのは自分だけなのか。
アイヴァンの真面目さを感じ
鑑賞中は同情しかけたが、
言い訳上手な破天荒男と変わりない。
男の惨めさに同情した。


笑った。自業自得過ぎて。馬鹿正直過ぎて。

多くの事を抱えていると、電話だけで物事が進んでいくことがあるがまさにそんな感じ。

んー。色んな見方があると思うけど、私はアイヴァンに対して理解はしがたい。

演出、脚本、キャスト、監督、全て凄い。
こんな見せ方伝え方があるんだと勉強になりました。
とても印象深い作品だけど何故かオススメではないです。

レビュー後スコア:☆4.3