このレビューはネタバレを含みます
最近トム・ハーディがマイブームということで。
初めから終わりまで車の中で、運転するトム・ハーディと電話の向こうの人達との会話でお話が進んでいく。
主人公の表情や仕草しか見えない。だけどこの映画の面白いところは、電話の向こうの人達の様子を想像しながら、共感したり、笑ったり、イライラしたり、なだめたくなってみたりするところだと思う。
主人公は、この事態をなるべく冷静に受け止め、自分なりに対処のシナリオを考えた上で、計画通りに伝えるべきことを伝えていく。彼の心中はまさにカーナビに映る、まっすぐなハイウェイの一本道。
面白いのは、主人公の無駄のない理路整然とした物言いや対応。状況は非常にドロドロしているのに、電話口では感情を抑え、さっぱりと会話を進めていく。
相手にとってはたまったものではなく、彼の考えについていけるはずもなく感情を露わにする。そのギャップのあるやり取りが可笑しい。
この主人公って下手な駆け引きとか、ごまかしをしない。正直で肝の座った態度に好感すらもてる。
ただ、今から自分の子供を出産しようとしている女性に「愛していない」とキッパリ言い切る正直さはどうかと思うが…。
かなりヘビーな話をしながらの運転、いつ事故るかと、ヒヤヒヤした。ひとまず、無事ロンドンに着いて良かった。そこから先は、「頑張れよ」としか言えない。