Tsubasa

ロスト・エモーションのTsubasaのレビュー・感想・評価

ロスト・エモーション(2015年製作の映画)
3.0
世界戦争によって地上の99.6%が破壊された近未来の話。滅亡の危機に瀕した人類は、人類を破滅させる元凶は「感情」だというふうに結論付け、遺伝子操作で感情を排除した人間の共同体「イコールズ」を創る。
「イコールズ」に暮らす人間は保健安全局の監視下に置かれ、愛情や欲望をはじめとする感情が芽生えた場合、病気と認定されて、隔離施設に強制収容され、最期は安楽死を迎える。

とまあ、ツッコミ所はありながらも…
音楽は無機質な建物(安藤忠雄の建築物)にしっかりと合うし、服装とかも無感情にぴったし。
ただ、この映画の身も蓋もないこと言うと「感情を排除」なんて感情を失ったこともない人類に想像すら不可能なことで、それを表現しようとしてるのはすごく伝わってくるけど、でもどこか「感情」の定義がすごく曖昧で終始、違和感が拭えなかった…
感情を排除したいなら、もっとロボットみたいな冷徹さや機械的なものがほしかった。これじゃ、「愛」を際立たせるために「愛」を忘れた人間を描いてるようにしか見えない…

それを抜きに考えてみると、やっぱり人間にとって感情は良くも悪くも備わってるもので、無理に抑えることがどれだけ苦しいことか。ただ、今の社会は人との関わりが薄れてネットで色んな人と関わって無機質な付き合いをして、と無感情的な状態。そんな近未来に警笛を鳴らしているようにもみえました。
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