Hailey

ロスト・エモーションのHaileyのレビュー・感想・評価

ロスト・エモーション(2015年製作の映画)
3.3
静かながらも強烈なディストピア。ありえない極端な設定はむしろ、現代社会への皮肉なカウンターメッセージに思えた。数年前まではLGBTQも病気と言われていたくらいで、今当たり前で気づかないことも近い将来当たり前でなくなるときが来るのかも。規定に従っているとそれを疑いもしないけど、それが正しくないという可能性も大いにある。ただそれを正しいと疑わないマジョリティに対して主張できるかはまた別問題。世界観はGattacaに似ていながらもCGIの進化によってよりリアリティのある真っさらな映像が美しい。色が感情を操作するのは確か。ライティングの色合いに脚本や語られない感情が反映されていて面白い。「感情が無い方がいい」という考え方はわからなくもない。感情が無いことが50として、感情があることは100にもなると同時に0にもなり得るから。それでもその100の感情のために痛みを伴うことも厭わない人間はやはり機械的にはなれない。感情を表すサウンドエフェクトが電子的でノイズのようで印象的。影を利用した横顔のショットが綺麗。皮肉にも感情のない世界の中のもの凄く感情的なストーリーだった。感情表現に用いられるサウンドエフェクトや照明、スピード感、ハンドヘルドのカメラワーク、全てが激しく画期的だった。特にサウンドすごく良い。
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