青二歳

くるみ割り人形の青二歳のレビュー・感想・評価

くるみ割り人形(2014年製作の映画)
3.0
1976年サンリオ制作のパペットアニメーション“くるみ割り人形”は最高に素晴らしい名作。そのリメイク。
サンリオのはバレエ“くるみ割り人形”ではなくホフマンの原作に沿っていてダークファンタジーの趣きが強く、その点大変好みです。
ただちょっとリメイク版は不条理なことについて分かりやすくしようという試みが見える。そのせいで却って話がややこしくなり間延びしている印象。児童アニメとして良質かどうかを考えるとやはり76年版がいい。今風の効果はきれいですから2014年版の方が見やすいのかなとは思いますが…

あと声優については断固として76年版に軍配。杉田かおるがうまいんですよねぇ。今作はかなり微妙。下手なタレントが目立ってこのパペットアニメーションのせっかくの品格を損ねている。本当にもったいない。
そして何より76年版を推すとしたらバレエシーン。クララと王子の愛をパ・ド・ドゥでなくパペットアニメーションでやっちゃうと…ちょっと子供っぽ過ぎるかも。わたしのバレエ贔屓を差し引いても、76年版におけるあのバレエシーンはやはり必要だった。
76年版を観た時は、ヴァルナ国際コンクール受賞直後だから、トップアイドルを声優にキャスティングするような興行上の理由で挿入されたんだと思っていた。だって日本のちびっ子にパ・ド・ドゥなんて馴染みないだろうから。
だけどバレエ版におけるパ・ド・ドゥは、クララが少女から大人の女性へ進む溢れんばかりの若さと愛を知った喜びに満ちた踊り(色んなバージョンがありますがワイノーネン版を踊る森下洋子を観たので)。その意味で、76年版におけるバレエ挿入シーンは、パペットアニメーションでは表現しにくいイマジネーションを与えてくれる効果があった。
もちろん素晴らしいパペットアニメーションなので、ファンタジックなクララと王子のシーンはそれはそれで魅力的でした。
青二歳

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