糸くず

ローマに消えた男の糸くずのレビュー・感想・評価

ローマに消えた男(2013年製作の映画)
4.0
この映画に『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』、さらにそれこそ『イル・ディーヴォ』の監督であるパオロ・ソレンティーノの新作では、イタリアの元首相ベルルスコーニを演じており、わたしにとって、「トニ・セルヴィッロ=政治家役者」という印象。

今回の彼は、パッとしない野党の党首と、破天荒な双子の兄(元は学者かつ精神病院の患者)を緩急自在で演じ分けており、表情の変化を見ているだけでも楽しい。生真面目な側近のヴァレリオ・マスタンドレアも眉間にしわを寄せた顔がよく似合っていて、ナイス・サポート。

お話も、言葉にし難いモヤモヤを吹き飛ばしてくれるヒーローを求めてしまう民衆の閉塞感を、重圧からの解放を望んで逃げ出す党首の休息とうまく絡めて描いていて、面白い。ラストの余韻もいい。

中盤の社交ダンスのシーンも素晴らしい。あんなダンスを目撃したら、誰だって愉快な気持ちになって声に出して笑いたくなるはず。
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