曇天

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイションの曇天のレビュー・感想・評価

4.5
見逃し映画をDVD回収していく任務に戻ろう。
今回どこにもバカがいなくて本当に助かる。黒幕も単純じゃなくて理解に足る目的を持っているし、女スパイの上司であるイギリス諜報局もえげつない。正統スパイ映画のような読み合い合戦でいて敵対勢力が常に先を行ってくれたり、保険を用意しておくなどの周到ぶりで安心して見れる。相手に不足なし。騙し合いばっかりじゃなく組織的に正常な段取りも観客に見せてくれるから手堅く感じる、英国首相を別室に導くくだりなど。
何より今回のMIは「スパイは政府の影の部分」というテーマに寄っているのが好きだなあ。冒頭レコード店の会話にてシャドウとライトのジョークでも示唆されてる。派手さがウリのMIシリーズだけど、今回は実際に民間人が巻き添えを食う展開が少なかった気がするし、スパイの超人的能力が要所要所で活きていて使い方が上手かった。イーサンの記憶力、ベンジーの人相当ても地味に大事なスパイ技能、イルサに銃を奪われレーンに撃たれた下っ端はスパイ失格ということだし。
つまらない展開の代名詞、時限爆弾展開になった時は瞬間的に不安になったが早々に切り上げてくれてる。そこから夜のロンドンを足で駆けるくだりは正直古いタイプのスパイを連想するがそこがいい! イルサとイーサンが勝つ方法も伏線を拾う形になっていて説得力があるしかっこいい。あー楽しい。
比較したかぁないがスペクターよりよっぽど上手く原点回帰・リスペクトできてるんでは。

超人的能力を駆使して針の穴を通すような精密さで、その場の最善を見極めて困難を打開する諜報員、これが映画作品で達成されてるのが単純に嬉しい。頭脳戦もバカっぽく見えない程度にはスマート。そして「スパイとしての人生」にまでテーマ言及したのはMI3以来かな。しかし「ドラマチックならオペラ」の台詞通りさほど熱っぽくはならずスパイ人生の空しさにさらっと触れておき、それでもそんな事は考える暇さえないとでも言うようにすぐ次の展開がやってくる。じっさい演劇でも観ているような感じで、一般市民には結局スパイの派手な部分しか知る事ができないのかもしれない。現実世界ではテロとの戦いで政府の暗部がどれだけ正しい成果を挙げどれだけえげつないことをしていることやらしれないからなあ。作品のスパイに対するドライな姿勢から色々想像してしまうわ。
つまりイルサはイーサンを同じ人と思っているから殺さないわけだよね。でも上はそうではないと。

監督が飛行機のシーンは「アンチャーテッド」を参考にしたというのをどこかで聞いたけど、他にもゲームの影響かなーと思い浮かぶシーンはいくつか。本編にもHALOが出てきてるし。でもゲーム自体映画や小説を参考にしているのである意味持ちつ持たれつだ。

前回ゴーストプロトコルのドバイより楽しい展開は無いかなーと思っていたら軽くそれに比肩するロンドンを持ってきてくれて嬉しい。モロッコは笑いどころが多い。漫画みたいに飛び跳ねる車、運転してるトムクルーズのイっちゃってる目とか。ヒロインに関しても美人だけど可愛いタイプでいかにもスパイっぽく見えない女優なのがいいわ。あヒロインはベンジーだったか。

追記
台詞回しも上手いなと思うのが「どっちにも転がれるよう」というか実務的で実利を取ろうと相手に隙を与えないような的確な言い方をしていて好感。オペラ座逃亡後とか特に。