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ミッション:インポッシブル ローグ・ネイションのRのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2015年のアメリカの作品。

監督は「アウトロー」のクリストファー・マッカリー。

あらすじ

IMFのベテランエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ「トップガン マーヴェリック」)は謎の犯罪組織「シンジケート」の正体を探るため調査を進めていた。そんなある日、指令を受けるためにIMFのロンドン支部を訪れるが、そこはすでに「シンジケート」の手に落ちており、イーサンは敵の罠にかかってしまう。拘束されるイーサンは拷問を受けるが、その窮地を救ったのは「シンジケート」の構成員である謎の美女イルサ(レベッカ・ファーガソン「レミニセンス」)だった。

遂にファン待望の最新作「デッド・レコニング PART1」の公開が来週に迫っているということで再履修を兼ねて、「ゴースト・プロトコル」から観ていて、今回はシリーズとしては5作目の今作。

お話はあらすじの通り、今回は前作のラストの指令電話の会話で(確か)出ていた「シンジケート」が遂に登場!!

で、初っ端、今までの序盤の恒例だったIMFの指令を今回も受けるイーサンなんだけど、「ここまで複雑な会話を経由する必要ある?」というツッコミもそこそこにレコード店で綺麗なチャンネー(多分、IMFの後輩?)相手に暗号的な会話を繰り広げた後、スムーズに指令を受けるために個室に入るイーサンなんだけど、なんとその支部は「シンジケート」の手に落ちており、その指令はIMFではなく、敵によるものだったという驚き。

もうこの時点で、既にイーサンよりも上手で強敵感が半端ない。

で、部屋の外を見るとさっきの綺麗なチャンネーが人質に取られており、そこに登場するのが今作の悪役、ショーン・ハリス(「ザ ・ストレンジャー:見知らぬ男」)演じる「シンジケート」のリーダー、ソロモン・レーン!!

演じるショーン・ハリスは「NY心霊捜査官」やマイケル・ケイン主演の「狼たちの処刑台」など(個人的には午後ローで観た「クライムダウン」の誘拐犯役!!)、一度観たら忘れられないような爬虫類顔の、まさに「怪優」。今作でもネイビーのスタンドカラーコートに短く刈り上げた髪型、そして知的なメガネが実に洒落乙なイギリス紳士ではあるんだけど、イーサンに匹敵する技能を持った冷酷無比そのものなヴィランを演じていて、怖すぎる。個人的にはこのシリーズの中でも極めて特徴的な悪役だと思う。

吹き替えだとあの「バイキンマン」の声優、中尾隆聖さんが演じていて、「フリーザ」や「涅マユリ」とも異なる体温を一切感じさせないような声音で演じていて、まさに新境地!そういう意味でも印象的。

で、そんなレーンの罠にハマり、チャンネーも目の前で殺され、自身もガスで気を失ってしまう。

で、周りは敵だらけ、そんな中拷問を受ける中でそのピンチを救ったのが、遂に登場!!レベッカ・ファーガソン演じるイルサ・ファウスト(名前がまたかっけー!!)!!

登場時は敵か味方かわからない、まさに峰不二子的な謎の美女的に登場するんだけど、やはり今見てもレベッカ・ファーガソンの美貌と相まってめちゃくちゃ良いキャラクター。

シリーズではそれまでも様々な女性エージェントが登場したけど、ベンジー(サイモン・ペッグ「ラック 幸運を探す旅」)、ブラント(ジェレミー・レナー「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」)、ルーサー(ヴィング・レイムス「ウェンデルとワイルド」)など主要メンバーとしてチームに加わった男性エージェントに比べて、個人的には存在感が薄い印象だったのに対して、その中でもイルサは後々の展開も含めて重要な役どころを演じていることもあり、シリーズ屈指の存在感を感じさせるキャラクターとなっている。

特に中盤でのプッチーニの「トゥーランドット」を上演しているウィーンのオペラ会場のシーン、黄色のドレスに身を包み、薄暗い個室でその美しすぎる御御足を惜しげもなくスクリーンいっぱいに映しながらのスナイプシーンは…セクシーが凄すぎる!!あと、めちゃくちゃ個人的な話なんだけど、前に受け持ってたクラスの子がめちゃくちゃレベッカ・ファーガソンに似ていて、その意味でもまるで受け持った子が立派なエージェントになったようで(どんな感慨笑)、印象深いんだよなぁ!!

そんな強敵と魅力的な女性キャラクターを加えての本作。やはり今作もアクションがすごい!

特にポスターや予告でも大々的に使われていた冒頭のシーン。開始早々、イーサンが猛スピードで離陸する飛行機に命綱なしの生身の体で浮上する機体にしがみつくというギャグかよ!!なシーンとなっているんだけど、もちろん今作でも、それまでのシリーズ同様、トム本人がスタンドなしで実際に演じているというから常軌を逸している。

この撮影では実際は数本のワイヤーしか付けておらず、1テイクで済ませるところを8テイクも重ねて、少なくとも高度1000フィート(換算するとおよそ304メートルの高さ😱)以上を飛んで、やり遂げたというから、クレイジー過ぎる。ただ、その結果このシーンがあったからこそ、シリーズの吸引力に繋がってトムのアクションスターとしての躍進と更なるヒットに繋がったわけで、そういう意味でもアクション映画に名を残す名シーン。やっぱ今見てもこのシーンの印象が強すぎて、後々のアクションまで持つのか!?と心配になる。

ただ、そんな心配ももちろん杞憂であり、その後も極秘ファイルを発電所地下から盗むために、水面下のトーラス(円環)に潜り、常人だと最大10〜15秒しか息が続かない水中でなんと6分以上息を止めて挑んだアクションだったり、その後一旦裏切ることになるイルサを追う敵のバイク集団とのチェイスシーンだったりと一個一個のアクションのクオリティが半端ない。

潜水シーンではトーラス垂直落下ダイビングの絵的な絶望感から始まり、一定周期でやってくるクレーンを掻い潜りつつ、途中でカードキーが落ちちゃうハプニングがあって、息やばい!!なタイムリミットサスペンスがあったり、チェイスシーンではベンジーを助手席に乗せての車でワイスピなみのドライビングテクを見せつけた挙句、バック走行で何回転してんだ!!ってくらいの瀕死必至のドンガラガッシャンクラッシュからの、フルフェイスヘルメットとライダースーツのイルサや追手に対して柄シャツに黒ジーンズというカジュアル極まりない格好、でもかっちょいいグラサンをかけての「2」を彷彿とさせるバイクアクションなど、その中でも絵的な派手さやアクションとしての面白みなど趣向を凝らしていて、全く退屈させない!!

お話的にはIMFだけでなく、シンジケート、FBI、MI6が交錯する人物関係は割りかし複雑ではあるんだけど、それまでどこの組織からも不遇な扱いを受けていたイルサが遂に「仲間」を見つけるまでの物語として考えると非常にシンプル。

自身は己が正義のために頑張ってるだけなのに、「シンジケート」の構成員としても、MI6のスパイとしても粗末に扱われて、孤独に立ち回る中、ただ1人裏切られても、見捨てずに手を差し伸べてくれたイーサンと仲間たち。幾多のピンチに立ち向かいながら迎える終盤、そんなイーサンと遂に結託し、襲いかかる敵に対してお互いを守り、共闘しながら、肩を叩いて敵の位置を即座に伝えるガンアクションを通して、「言葉」はなくとも互いの背中を預けられる「信頼」があるからこそ成し得る戦いを通して、仲間に加わったことを伝える演出、そして、その上でベンジー、ブラント、ルーサー、そしてイルサが加った仲間たちがイーサンのもと結集し、こんなん勝てるの?と思わせた、これまで以上の強敵レーンを罠に嵌めて勝利を掴むカタルシス。

序盤にあったイーサンの目の前で起こる悲劇に対して、何もできないことの「無力感」の「意趣返し」として、まさにこれ以上ないほどの…

ザマァ!!

ガラスの中から歯軋りの音が聞こえるくらいの悔しさを滲ませたレーンとガスの中で消えゆくレーンが入った箱をひと思いに押し倒すイーサンのラストまで、これぞチームワーク、これぞスパイという智略を練った蹴りの付け方にめちゃくちゃカタルシスを感じた!!

ということで、今作の監督クリストファー・マッカリーはこれ以降、最新作に至るまで監督を続投しているわけだが、最初の作品でこれほどまでのものを観せてくれるとはやっぱすごい!!直接的な続編となる次作、そして来週公開の最新作が更に楽しみになった!!
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