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ミッション:インポッシブル ローグ・ネイションのHIROのレビュー・感想・評価

4.5
各国の元エリート諜報部員が結成した無国籍スパイ組織「シンジケート」の暗躍によってイーサン・ハントの所属するIMFは解体の危機に陥る。組織の後ろ盾を失いながらも、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は仲間と共に世界の危機を救うため史上最難関のミッションに挑むお話。

衰えるどころかクオリティを保ったまま展開されるこのシリーズに改めて感心致しました。

冒頭から度肝を抜くようなシーンから始まる。ここまでインパクトのある掴みは珍しいんじゃないですかね。
物語のクライマックスに持って来るようなシーンを冒頭で使ってしまうところに監督の思い切りの良さを感じました。
そしてその掴みがピークになるわけではなく、そこから目が離せないような展開の連続。本当に時間があっという間でしたよ。
テーマ曲と共にいつものクールなオープニングクレジットが流れた瞬間、完全に物語に引き込まれました。

IMFが解体されたことで組織の後ろ盾を失ったイーサンが限られた仲間と共にシンジケートを壊滅させようと奔走するところはとても面白かったです。
仲間との絆あり、舌を巻くような最先端のテクノロジーあり、ド派手なアクションあり、どれを取っても一級品ですな。

今作もトムはやっぱり凄かったですよ。
離陸する飛行機にしがみ付くところは目を疑ったし、オーストリアのオペラ会場での小気味よいアクションの連続は軽快さと美しさが混同しとてつもなくお洒落なシーンに仕上がっていたし、極秘データ入手のために水中で息を止めながらミッションを遂行し、ヘロヘロになった状態でめちゃくちゃなカーアクション・バイクアクションを難なくこなしてしまったり。
もう次から次へと危ないアクションシーンが続くので「もう止めなよ、トム」と思いながらも、いつまでも自分で過酷なスタントに挑戦する彼の心意気に、心の底から信用できる男だな!と思いましたね。

半裸シーンが出てくるんですが、53歳とは思えないほどの身体つきでした。ぜい肉など全くない鍛え抜かれた肉体に惚れ惚れしましたね。
ハリウッド俳優が映画で披露する筋肉というのはだいたいが魅せるための筋肉だったりするけど、トムの場合は本当に実用的な筋肉というか。
バキバキでカッコイイという筋肉ではないものの、ハードなアクションや肉弾戦を行う上で説得力のある筋肉なわけで、トムの並々ならぬトレーニング風景が思い浮かびましたよ。やっぱり彼はめちゃくちゃカッコイイですね。

特に腹筋を使ってポールに繋がれた鎖を外すシーンは度肝を抜かれました。
どうすればあそこまでの強い腹筋が手に入るのかトレーニングを教えて欲しいと思いました。

ヒロインのレベッカ・ファーガソン演じるイルサも最高に魅力的でしたね。
敵か味方か分からないミステリアスさや、居場所がどこにもないという孤独や悲哀など、見れば見るほど引き込まれるヒロイン像だったと思います。
そしてアクションシーンはどれもキレキレでビックリしましたね。
敵と闘う前にヒールを脱ぐところは闘う女として信用できるシーンであり、一気に彼女の虜になりました。
僕はアクションを披露する美形の女優にはちょっと厳しくなってしまったりするんですよね。なぜならガリガリのモデル並みの女が筋肉隆々の男を倒したとしてもなんの説得力もないから。
でも彼女の水着姿を見てハッとさせられました!
背中に筋肉がちゃんと付いてるじゃありませんか!
僕は背中をしっかり鍛えてる奴に信用できない奴はいないと思ってるのでね。
彼女にならどんな足技を掛けられたとしても幸せを噛み締めながら死ねると思った次第。

悪役ソロモン・レーン役のショーン・ハリスも良い味を出してましたね。
上品さの中に凄まじく冷酷な部分が見え隠れしているし、あの特徴的な声と相まって、張り詰めた緊張感を提供してくれる悪役だったと思いました。

そして何よりも愛おしいのがサイモン・ペグ演じるベンジー。
凄くできる奴なんだけど、何故かいつもどこかが抜けているというか。
緊張感のあるアクションの中にちょうどいい緩急を織り交ぜてくれてホッとさせられました。
そして今作ではヒロインよりもヒロインらしい存在感を発揮してくれるんですよね!
イーサンとベンジーの堅い友情には胸が熱くなるし、終盤で見せる彼の表情は抱き締めたくなるほどの愛らしさ。
今後彼抜きではこのシリーズは成り立たないと言っても過言ではないですな。

起伏のあるストーリーに終始引き込まれ、数々のアクションに圧倒される作品。
とても魅力ある入り組んだシナリオにまた劇場で観たいと思わされました。
冒頭イーサンに降り掛かる惨事がラストに効いてくる演出もまた憎い。
最初から最後まで楽しめる最高のエンターテインメント作品でした。



2015-89
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