emily

さよなら、人類のemilyのレビュー・感想・評価

さよなら、人類(2014年製作の映画)
4.3
3つの死から始まり、面白グッズを販売する二人のセールスマンはいろんな人々に出会う。18世紀のスウェーデン国王率いる騎馬隊が今のバーに現れて、男をナンパしたり、過去と今が交差し、それでも見える人間の滑稽さをブラックユーモア満載で綴る。

 アナログな作品で、全編スタジオ撮影。1シーン1カット、4年の歳月をかけて作り上げた作品であるが、全く平面さを感じさせない。奥行を常に持つような人物の配置や、構図、まるで絵画のように、画面の隅から隅まで見渡せば、見えてない部分が見えてくるような、横にも縦にも奥行き感のある作品だ。摩訶不思議に時空を超え、エピソードが交差するが、描かれてるのは普遍的な人間より人類の本質的な隙間をえぐり、笑いの中から自分と交差する物を見つけ出してしまうという皮肉。

 まるでおとぎ話のような色彩と、執拗にこだわりのある立体感と、見えないところで何かが起こっているという、どこを見てよいのかわからない、人間の迷いや心の揺れを逆手に取り、わかっている現実を何度となくたたきつけてくるのだ。シュールな世界観の中からは生きる強さより、死に向かう強さを感じさせる。皆そこに向かっていく。でもその現実を知れば、その現実をしっかり受け入れれば人生はもっと軽快で。その場を楽しめるのかもしれない。
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